スティーブン・ホーキング

ミーハーなことを書きますが、僕はスティーブン・ホーキングが好きです。

 

宇宙物理学でまず興味を持ったのが初期宇宙でした。宇宙全体に関わる話なのでスケールの大きい話が好きな僕には魅力的でした。その初期宇宙の、宇宙の始まりについての定理である「特異点定理」というものがホーキングとペンローズによって70年代に証明されたのですが、卒論ではその「特異点定理」について書きました。一般相対性理論を使って宇宙の大きさの変化を調べると、宇宙は点から始まっていたことになるという定理です。

 

特異点定理」をきっかけにホーキングを知った僕は、ホーキングが書いた一般向けの本を読みました。ホーキングが書いた一般向けの本「ホーキング、宇宙を語る」はベストセラーにもなった有名な本で、魅力的な話題がたくさん書いてありました。研究の方でも「ホーキング・パラドックス」という謎を提起して、量子重力理論、超ひも理論の発展に貢献しました(ホーキングは超ひも理論の研究家ではなかったそうですが)。

 

そんな華々しい業績を持つホーキングですが、大変な病を抱えながら研究を続けてきました。ALSという筋肉がなくなっていく病気を20代の頃に発症して、歩くこともできなくなり、車椅子で生活するようになりました。なので「車椅子の天才」と呼ばれています。発症したときには余命数年と宣告されましたが、病気の進行は緩やかになり、76歳になった今でも研究を続けています。

 

と言っても病気の進行が止まったわけではなく、だんだん動かせる筋肉が少なくなっていき、今では顔の筋肉くらいしか動きません。以前、肺炎にかかったときの手術の影響で声も出なくなりました。今ホーキングが他の人と情報をやり取りするすべは、ほほの筋肉でPCを動かし、人工音声でしゃべることです。一言打つのにも数分かかるそうです。

 

体を動かすことができず、一言伝えるのにも数分頑張って文字を打たないといけない。これはかなり大変なことだと思います。生きることに疲れてしまいそうです。そんな状況でもホーキングは本を書いたり講演をしたり、さらには研究を続けています。その気力がどこから湧いてくるのか。すごいなと思います。NHKの「神の数式」という番組がDVD化されたときに特典映像でホーキングの生活の様子が垣間見れたんですが、それを見てますますすごいなと思いました。ミーハー過ぎますが、この世の奇跡を見るような気持ちになります。

 

自分の人生の終わりを感じるからこそ頑張れるのかもしれないという考えもあるかもしれませんが、それでも困難に打ち克つことは難しいと思います。本当にすごい人だと思います。