マンガ家さんあれこれ

NHKの「漫勉」、集英社の「ジャンプ流」が同じような時期に放送、刊行されました。どちらもマンガ家さんの作画風景を見せたり、色々とインタビューしたりという構成です(ジャンプ流はDVDが入っててそれで映像が見れます)。

 

マンガは好きでよく読むのでおぼろげな知識とマンガ家さんの作業の知識はありました。つけペンで描くとか、まずネームを描いてストーリーを決めるとか。でも上記の「漫勉」や「ジャンプ流」で実際の作画風景を見るとビックリすることがたくさんありました。

 

まず、ペンはつけペン以外にもミリペンを使っている人が多いです。ゴルゴ13さいとうたかを先生はつけペン使ってなかったです(さいとうたかを先生は「目しか描いてない」という都市伝説がありますが、各作品の主人公はすべて先生が描いてはります)。つけペンで主線を描いて、つけペンで細かい線を描いてという感じであったり。浅野いにお先生は色々な太さの線を重ねて描いてはりました。そうすると髪の毛なんかがすごくきれいに見えます。

 

下書きをほとんどしないマンガ家さんもいます。藤田和日郎先生はアタリを描いてそのままペン入れしはりますし、さいとうたかを先生もそうです。鉛筆で下書きして、それをなぞるようにペン入れをするのが当たり前だと思ってたのでビックリしました。もちろん下書きできちんと描く人の方が多いです。

 

絵を描くスピードも人それぞれで、東村アキコ先生や三宅乱丈先生、鳥山明先生は速いです。あっという間に絵ができていく感じです。逆に伊藤潤二先生とかはすごくゆっくりです。伊藤潤二先生はホラーを描かはるので、ゆっくり丁寧に線を重ねていくのが合ってると番組中に話してはりました。作風に合ったスピードというのもあるのかと思います。動きのあるマンガなんかは線をスッと入れる方がカッコいいですもんね。

 

アシスタントを使わない方もいて、そこもビックリしました。「漫勉」シーズン4は伊藤潤二先生、山本直樹先生、ながやす巧先生と4人中3人が1人で仕上げるマンガ家さんでした。手塚治虫先生や藤子不二雄先生の頃は自分たちで全部描くって感じで、それ以降はみんなアシスタントを使うようになったと思っていたので意外でした。逆にさいとうたかを先生は分業制を提唱してはります。脚本、構図、作画は違う才能だと。確かに別々の才能で、それをすべて持ってるという人は少なそうです。

 

パソコンを積極的に使ってる方もいます。浅野いにお先生は写真を加工して風景を描いたりしてて、つけペンで描く絵と写真を加工した風景を組み合わせています。山本直樹先生はすべての作業がパソコンで完結しています。浦沢直樹先生もパソコンで色を塗ったり。鳥山明先生もドラゴンボール以降はパソコンで色塗ってはりますね。

 

それから、ネームがかなり重要ということも感じました。ほとんどの方がネームに苦しんでいて、井上雄彦先生は締め切り前日までネームに苦しむことも(井上雄彦先生についてはNHKのプロフェッショナルで見ました。そんな直前までネームに取り掛かってて落とさないのがすごいです)。ネームはマンガの設計図、骨であるので、そこがしっかりしてないと絵が良くてもダメとおっしゃってました。冨樫義博先生やさいとうたかを先生はネームが一番好きっておっしゃってました。東村アキコ先生は途切れなくスッスとネームを描いてはってアイディアがどんどん出てくる方もいるみたいです。

 

色々と見てみて思ったのはマンガの描き方は実に多様だということです。マンガ家さんごとにやり方があるという感じです。作画についてもそうですし、全体の作業の進め方もそうです。こういうのを見るのは好きなのでたくさん見て面白かったです。