天才ってこういう人かと思った話

ある日、YouTubeを見ていると手塚治虫のドキュメンタリー番組の動画をオススメされました。1986年にNHKで放送された番組で、手塚治虫が亡くなる3年前になります。マンガ執筆部屋での定点観測やアニメのイベントに参加する前の締め切りギリギリのマンガ執筆、インタビューが収められています。面白かったのでDVDを買って何度も見ました(YouTubeで何度も見れますがぶっちゃけ違法ではあるのでDVDを買いました)。

 

3本の週刊連載と1本の読み切りを抱えて3日間で計3時間の仮眠での執筆、締め切りに追い込まれる姿、フランスでのイベントに参加するために空港へのタクシーの中で執筆してそれでも間に合わないからと飛行機の中で執筆してFAXで送るギリギリのスケジュールなど、かなり過酷な生活が映し出されていました。なかなかペンが進まずに苦しむ姿、ストーリー展開に無理があると分かって描き直しをするアクシデントもありました。それでもマンガを描き続け、番組の最後は読み切りの原稿を上げて「1本終わったー!」と喜ぶシーンになります。見ているこっちも「良かったー!お疲れ様です!」となっているところに、笑顔で「32ページ。明日の朝までにやらないと」とのお言葉。本当にすごいです。

 

手塚治虫は、迫ってくるたくさんの締め切りとその重圧の中、尋常じゃない量のマンガを描き続けていました。精神的なプレッシャーや睡眠不足もありますし、長時間の執筆のため運動もできません。ずっと仕事場にこもってTVや新聞から情報を得つつ、精力的に執筆作業をしていました。

 

手塚治虫は病気のため入院してもマンガを描いていたそうです。周りに止められてもです。最期の言葉は「頼むから仕事をさせてくれ」だったそうです。番組中でも「アイデアはバーゲンセールをしてもいいくらいある。あと40年描き続けたい」と言っていました。本当にマンガを描くことが好きで、無尽蔵のパワーが湧き出ているようでした。

 

このドキュメンタリー番組を見て、天才とはこういう人のことかと思いました。自分の仕事に対しての努力、活動を惜しまず、常人では真似ができないほどのことをやってのける人。その努力を苦と思わない人。仕事がしたくてたまらない人。休息があまり取れなくても活動し続けることができる馬力を持っている人。そういう人が天才なんだと。

 

僕はコービー・ブライアントというNBA選手(2016年に引退して、今年事故で亡くなりました)が大好きなのですが、コービーも朝の3時から練習に励み、試合後の移動で他の選手が寝ている中ビデオ研究などをし、バスケが大好きで常にバスケのことを考えるかしている、常人では真似のできない努力を喜んでする選手でした。手塚治虫とは分野が違いますが、コービーも同じように天才と言えると思います。

 

ということを考えて、自分は天才じゃないなとハッキリ思いました。天才だと思ってたわけではまったくないんですが、完全に違うなと思いました。僕には1つのことを手塚治虫やコービーのように極める持続力がありませんし、ボーッとYouTubeTwitterを見る休息の時間が必要です。睡眠時間も人より必要です。でも、悲しい気持ちは全然ないです。ヒーローを見てすごいなと思うような、そういう気持ちです。今回紹介したドキュメンタリー番組を見て手塚治虫が好きになりました。