理学部物理学科に入る人へ

受験生の皆さんは夏休みも終わって受験勉強のエンジンがかかっている頃でしょうか。僕は理学部物理学科に入りました。基礎理論を勉強したかったので理学部を志望しました。勉強の甲斐あって受験に合格することができ、無事に卒業したのですが、今思うと「ああしておけば良かった」と思うことがあるので、誰かの役に立てばと思ってここで書いておこうと思います。

 

一番後悔していることは勉強の仕方です。高校のときに橋元流の参考書で物理においてイメージがとても大切なことに気づいていたのに(橋元流の参考書は超オススメです)、大学に入ると講義で習ったことを元に計算に終始していた気がします。勉強の仕方も高校までのように講義でノートを取って、試験前に復習する、というやり方をしていました。これだと単位は取れるのですが、物理という学問を根本から深く理解することからは程遠いです。単に練習問題が解けるようになるだけです。その式が意味するところ、何故成り立つのか、解いた結果の意味などを考えるということができていませんでした。また、この勉強の仕方では講義を越えた範囲まで理解することが難しいです。講義の内容がすべてではないのに、講義の内容を理解すればすべて分かった、と思ってしまうのです。

 

派生して個人的にやっておきたかったと思ったことは、物理学の歴史を勉強するということです。この理論が誕生したときに当時の物理学者たちはどういう問題意識を持って、どういうことを考えて解決していったのかと知ると、個人的には勉強のやる気が出ます。単に僕が歴史好きだからかもしれませんが。量子力学が誕生した頃のことを書いた「量子革命」を読んだときに今まで名前しか知らなかったボーア、パウリ、ハイゼンベルグ、シャレディンガーたちの奮闘を知って、量子力学は面白いと思いましたし、量子力学について考えるモチベーションが上がりました。単に名前だけ知ってるのではなくて、当時の物理学者たちの様子を知ると愛着みたいなものもわいてきます。

 

大学と大学院で物理を学んだり研究して、博士号も取ったのですが、大学を出てからも日経サイエンスや物理の本を読んだり思索していると、在学当時の自分の理解の浅さや狭さに気づいて後悔の念が浮かびました。大学以降は高校までのような勉強では良くない、意識を変えようと大学入学前の自分に伝えたいです。そんな想いもあって、今回はこんな記事を書きました。誰かの役に立てばいいなと思います。